最近読んだ本 : 窓 - 乃南アサ

2007-12-13Category: Entertainment

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窓 - 乃南アサ窓 - 乃南アサ
これもまた書店で衝動買いしたもの。シリーズ前作「鍵」は読んでいないし存在すら知らなかったけど、違和感なくすらすらと読める。

小説の冒頭では主人公の麻里子が聴覚障害である、と断言する言葉はない。補聴器云々という節がある程度で、読み進める内に麻里子が自分の障害に悩み、孤立感を覚え、素直になれない思春期を見事に描いていると思う。
私は健聴者であるし、身体的な障害なんて何も持っていない。けれど、この麻里子の気持ちは凄く解る。「私のことなんか誰もわかってくれない」「私はみんなとは違うから、みんなと溶け込めることはこの先ない」こんな風な疎外感を覚えて一人で塞ぎ込んで考えてしまうのって、中二病だとかなんとか笑う以前に、誰にでもあるんじゃないだろうか?
ちょっと特殊な趣味だったり、クラスで一人だけ携帯持たせて貰えなかったり、身長が小さいとか大きいとか、髪の毛が天パだとか。たったそれだけのことで疎外感を覚えるのは思春期では普通のことだし、そういった感覚を覚えることが一番重要だと思う。そういう思い出がないまま大人になってしまうなんて考えられない。

この小説は、作中に出てくる毒入りジュース事件や殺人事件は重要視しなくていいと思う。私は主人公の麻里子の思いや考えに重きを読んだ。
もちろん、どちらの事件の犯人の考え方 (自分が悪いのではなく自分の周りの環境が悪いという自己中心的な妄想、あるいは執着心) は麻里子の考え方とリンクしていて、誰にでもこういうことが起こりうるんだよ、という示唆になっている。

--私だって、そんな気持ちになることがある。私だって、人のせいにする。
そして、「どうせ」と思う。今までだって、数え切れないくらいにそういう思いをしてきた。つまり、一つ間違えば、麻里子だって人をあやめるような行為に及ぶ可能性があるかも知れないということだ。逆を言えば、吉岡という人だって、もう少し違っていれば、今も普通に暮らしていたかも知れない。その違いなど、ほとんどないのかも知れない。ただ、あの人は、いとも簡単に、その一線を越えてしまった人なのだろう。

「どうせ、どうせ」と思っていても自分にとって何もいいことはなく、自分を取り巻いている他人に対しても不愉快な雰囲気をもたらしているかもしれない。
そんなのはすごくいやだよね。もっと笑顔になれるように毎日を過ごそう。
そう思える小説だった。

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